中国の救急医療体制の基本構成
中国国内では、全ての二級以上の医療機関に24時間対応の救急外来を設置することが義務付けられており、急性の疾患や外傷に対する緊急診療を常時提供している。全国共通の救急通報番号は120番で、通報を受けると最寄りの医療救急センターから救急隊が出動し、現場での応急処置を実施したうえで症状に対応可能な医療機関に搬送する仕組みが全国で整備されている。
救急外来では来院した全ての患者に対し、まず専門の医療スタッフが緊急度・重症度に応じたトリアージを実施し、生命に関わる重症患者を優先的に診察するルールが全国一律に適用される。軽症の場合は、診察の順番が来るまで待合室で待機することになる。
救急外来利用時の標準的な流れ
救急外来の受診手続きでは、原則として本人確認書類の提示が求められる。外国人の場合はパスポートなど身分を証明できる書類があれば受付が可能だ。受付完了後、トリアージ担当者による症状の聞き取りとバイタルサイン測定が行われ、重症度に応じた待機エリアに案内される。
診察、必要な検査、応急処置が完了したあとに窓口で医療費の会計を行う流れが一般的で、原則として会計時の全額即時支払いが求められる。対応可能な支払い方法は医療機関ごとに異なり、人民元現金のほか、主要な国際クレジットカード、一部のモバイル決済サービスが利用できる施設もある。外国人受診者の多い都市部の総合病院や国際病院では、英語など外国語に対応可能なスタッフが配置されているケースが多い。
外国人受診に関する公的ルール
中国の公的医療保険制度は、原則として中国国内で保険料を納付する居住者を給付対象としているため、観光や短期商用で訪問する外国人は原則として公的保険の給付を受けられない。
医療に関する法令では、すべての医療機関は救急患者に対し、費用の支払い能力や身分証明書の有無にかかわらず、まず必要な救命処置を実施する義務を負うと定められている。費用負担の問題を理由に救命処置を拒否または遅延させる行為は禁止されている。
公的な指針では、外国人患者を受け入れる医療機関に対し、必要に応じて通訳支援を手配するほか、保険請求に必要な診断書や診療明細付き領収書の発行に対応することが求められている。
よくある問い合わせと回答
Q 120番への通報は外国語で対応してもらえますか
A 基本的な通報対応は中国語で行われる。主要な国際観光都市の一部の救急指令センターでは英語対応が可能なオペレーターが配置されている場合もある。周囲に中国語を話せる人がいる場合は、通報を依頼できることが公的な利用案内に記載されている。
Q 救急車の利用に費用はかかりますか
A 120番の救急車は有料で、各地域で定められた公的料金基準に基づき、走行距離、搬送中に実施した応急処置の内容、使用した薬剤などに応じて料金が算定される。料金は搬送先の医療機関の窓口で支払うケースが一般的である。
Q パスポートを携帯していない状態で急病になっても診療を受けられますか
A 救急医療の法令規定に基づき、生命に危険が及ぶ状態の患者については、身分証明書の有無や支払い能力に関係なく優先的に救命処置が実施される。容体が安定した段階で、改めて本人確認や費用精算の手続きが行われる。
Q 海外旅行保険は病院窓口で直接使えますか
A 一部の国際病院や外資系医療機関では主要な国際医療保険・海外旅行保険会社と直接清算の提携を結んでおり、有効な保険証券を提示することで窓口での自己負担が発生しない場合がある。大半の公立病院では一旦医療費の全額を自己負担で支払い、後日保険会社に必要書類を提出して給付を申請する流れとなる。
Q どのような症状の場合に救急外来を受診できますか
A 公表されている救急外来の対象基準には、意識障害、呼吸困難、大量出血、急性の激しい胸痛・腹痛、重度の外傷、急性中毒、けいれん発作など、直ちに医療処置を行わなければ生命に重大な影響が生じる可能性のある状態が定められている。
情報参照元
中華人民共和国国家衛生健康委員会 救急医療体制関連公表資料
中華人民共和国基本医療衛生と健康促進法 関連条文
中国国内主要総合病院 公開外国人受診案内
全国救急医療センター 共通利用ガイド