手続き前に知っておくべき基本情報
中国本土へ観光目的で入国する外国人のうち、中国との相互免査証協定の対象外となる国籍者は、渡航前に観光ビザ(Lビザ)を取得する必要がある。Lビザは観光のほか、親族・知人訪問など私的な短期滞在に適用されるビザ種別で、就労・営業活動・長期留学・報道活動などの目的での利用は認められていない。
香港・マカオ・台湾地区への渡航には別途入域許可が必要となる場合があるほか、トランジット免査証制度や相互免査証協定の条件を満たす場合は、Lビザを取得せずに入国できるケースもある。
手続き前の準備事項
Lビザを申請するには、まず有効な旅券(パスポート)を保有し、中国滞在中の経費を支弁する能力があり、入国目的が真に観光・短期私的訪問であることが前提となる。申請に必要な共通書類は以下の通りである。なお、申請先の国・地域、管轄窓口によって追加書類の要求が異なる場合があるため、事前に各窓口の公表情報を確認する必要がある。
- 残存期間が中国入国予定日から6か月以上あり、ビザを押印するための空白ページが2ページ以上存在するパスポート原本、およびパスポートの顔写真掲載ページのコピー1部
- オンラインシステムで必要事項を記入し、署名したビザ申請書
- 直近6か月以内に撮影された、背景白・無帽・正面向きの規格サイズ証明写真1枚(申請書の所定位置に貼付)
観光目的の申請では、上記共通書類に加え、往復航空券の予約確認書と宿泊施設の予約確認書、または中国国内の招へい人が発行した招へい状(招へい人・被招へい人の情報、滞在予定、招へい人の署名と連絡先が明記されたもの)のいずれかの提出が求められる。団体観光旅行に参加する場合は、旅行会社が発行する団体旅行の証明書類が必要となるケースがある。
過去に中国国籍を保有していた者、過去に中国ビザの取得歴がある者は、旧パスポートのビザページのコピーや国籍喪失の証明書類の提出を求められる場合がある。
具体的な申請手続きの流れ
申請窓口の確認と事前予約
Lビザの申請窓口は、申請者の居住地域を管轄する中国大使館・領事館、または中国政府が指定するビザ申請サービスセンターである。多くの国・地域ではオンラインでの事前予約が義務付けられており、予約なしに窓口を訪問しても申請は受理されない。予約時にはビザ種別としてLビザを選択し、来所日時を指定する。管轄外の窓口では申請を受け付けてもらえないケースがあるため、自身の住所がどの窓口の管轄範囲に含まれるかを事前に公式サイトで確認する。
書類提出と手数料の支払い
予約した日時に必要書類一式を持参し、窓口で書類の確認を受ける。記載内容に不備がない場合、申請が受理され、ビザ審査手数料の支払い手続きに進む。手数料は相互主義の原則に基づき国籍ごとに金額が設定されているほか、通常審査・加急審査など審査に要する日数の選択によっても金額が変動する。ビザ申請サービスセンターを利用する場合は、別途サービス手数料が発生する。
手数料支払い後、ビザの引換証が交付される。書類の不備がある場合、追加書類の提出や本人への事情聴取が実施される場合がある。
ビザの受け取りと記載内容の確認
定められた審査期間が経過した後、引換証を持参して窓口でパスポートに貼付されたビザを受け取る。一部の窓口では、追加料金を支払うことで郵送によるビザの返送に対応している。受け取り時にはビザに記載された氏名のスペル、パスポート番号、有効期間、許可された滞在日数、入国可能回数に誤りがないかをその場で確認し、誤りがある場合は速やかに窓口職員に訂正を申し出る。
特殊なケースと適用される制限
2024年現在、日本・フランス・ドイツなど中国と15日以内の短期滞在に関する相互免査証協定を締結している国の国籍者は、観光・商用・親族訪問目的で15日以内に滞在する場合、Lビザを事前取得する必要がない。ただし15日を超えて滞在する場合や、協定で認められた目的以外の活動を行う場合は、別途該当する種別のビザが必要となる。
中国が定める入国禁止措置の対象者、過去に不法滞在や不法就労の記録がある者、退去命令を受けたことのある者は、Lビザの申請が拒否される場合がある。また、チベット自治区を観光で訪問する場合はLビザとは別にチベット入境許可書の取得が義務付けられており、許可書なしでのチベット自治区への入域は認められない。
国や地域によっては、郵送による申請を受け付けていない窓口、代理人による申請を認めていない窓口も存在するため、申請前に最新の対応状況を確認する必要がある。
手続き完了後の関連事項
取得したLビザは、ビザに記載された有効期間内に限り有効である。中国入国時にはパスポートとビザを入国審査官に提示し、審査を受ける。入国審査時には入国目的や滞在予定、帰国便の予定を証明する書類の提示を求められる場合がある。
入国後はビザに記載された滞在可能日数を超えて滞在することはできない。病気などやむを得ない理由で滞在を延長する必要が生じた場合は、滞在地の県級以上の出入境管理機関で滞在延長の手続きを行う必要があり、許可なく滞在期間を超過した場合は行政罰の対象となる。またLビザでの中国国内での就労、営利活動は禁止されている。
ビザ取得後にパスポートを更新した場合、旧パスポートに貼付された有効なLビザと新しいパスポートを併せて提示することで入国できるケースと、新たにビザを取得し直す必要があるケースがある。
よくある質問
Q:申請からビザ取得までにどのくらいの期間がかかりますか?
A:通常審査の場合、申請受理から4営業日程度で発給されるケースが多い。ただし窓口の混雑状況や追加審査が必要な場合はさらに日数を要する。追加料金を支払うことで、より短い期間で発給される加急審査サービスを利用できる窓口もある。
Q:ビザ申請は必ず本人が窓口に行く必要がありますか?
A:多くの窓口では指定された代理機関や親族、旅行会社による代理申請が認められている。ただし申請内容によっては本人の来所や面接が求められる場合がある。
Q:オンラインのみで申請を完了できますか?
A:2024年現在、Lビザはオンラインのみで全手続きを完了することはできない。オンラインでの申請書記入や予約は可能だが、パスポート原本の提出は窓口あるいは郵送で行う必要がある。
Q:観光目的であればビザなしで中国に入国できますか?
A:中国と相互免査証協定を締結している国の国籍者が、協定で定められた期間内の観光滞在をする場合に限りビザが不要となる。全ての国籍者にビザ免除措置が適用されるわけではないため、自身の国籍が対象か事前に確認する必要がある。
Q:Lビザで何回中国に入国できますか?
A:発給されたビザの記載内容による。シングルエントリーの場合は有効期間内に1回、ダブルエントリーは2回、マルチエントリーは有効期間内に複数回の入国が可能である。
参考来源:
中華人民共和国外交部 ビザ申請ガイドライン
中華人民共和国出入境管理局 外国人入国・滞在関連規定
中国ビザ申請サービスセンター 手続き案内
駐日中華人民共和国大使館 ビザ業務関連告知