渡航前に把握しておくべき基本情報

本ガイドは、観光目的で中国を訪問する外国人が、渡航前に必要な手続きや準備を漏れなく行うための公開情報をまとめたものである。

対象となるのは、観光、親族訪問、短期商用で中国を訪問する全ての外国人。中国入国時の共通要件として、パスポートの残存期間が入国日から6か月以上あり、出入国スタンプを押印するための空白ページが2ページ以上存在することが求められる。また中国の法令で定められた入国禁止事由(過去の悪質な滞在超過記録、重大な違法行為記録など)に該当しないことが前提となる。

査証(ビザ)の要不要は国籍、滞在日数、渡航目的によって異なる。渡航目的が就労、報道、長期留学の場合、滞在日数に関わらず事前に該当する種別の査証を取得する必要がある。

事前に準備が必要な書類・物品・条件

公的書類関連

  • パスポート:残存6か月以上、空白ページ2ページ以上の要件を満たすもの
  • 査証(必要な場合):観光目的の場合はL査証を取得する。申請時には往復航空券予約確認書、宿泊先予約確認書、あるいは中国国内に居住する招へい人が作成した招へい状が必要となる
  • 旅程関連書類:免査証で入国する場合でも、入国審査時に往復航空券(または第三国へ出国する航空券)の控え、宿泊先の予約確認書の提示を求められる場合があるため、すぐに提示できる状態で準備しておく
  • 特別な許可証:チベット自治区を訪問する場合は別途「チベット入域許可証」、一部の辺境地域を訪問する場合は「辺境通行証」が事前に必要となる

支払い・通信関連

  • 人民元現金:入国直後の交通費や小規模店舗での支払いに備え、1日あたり数百元程度の少額の現金を準備しておくことが推奨される。人民元現金2万元、または外貨現金5000米ドル相当額を超えて持ち込む場合は税関での申告が義務付けられている
  • 決済ツール:都市部の大型店舗では海外発行クレジットカード(Visa、Mastercard、JCBなど)が利用できるが、地方の小規模店や公共交通機関ではモバイル決済が主流である。WeChat Pay、Alipayは海外発行クレジットカードを紐づけて利用できるため、事前にアプリのダウンロードと本人確認を済ませておくとスムーズである
  • 通信手段:自国の携帯電話の国際ローミングを契約する、あるいは中国国内で利用可能なポケットWi-Fiを事前にレンタルする方法がある。入国後にパスポート提示で国内SIMカードを購入することも可能だ

その他の準備物

  • 常用薬:持病のある人は個人使用範囲内の量の常用薬を持参し、合わせて英文または中文の処方箋を携行することが推奨される。麻薬・向精神薬に分類される成分を含む薬は持ち込みが制限される場合がある
  • 荷物の事前確認:中国税関が定める持ち込み禁止物品(生の肉製品、生鮮果物、違法薬物、わいせつ物、無申告の規定額超過現金など)を事前に確認し、該当する物品を持ち込まないよう注意する

具体的な準備手順

準備は渡航までの期間に応じて、以下の流れで進める。

ステップ1:渡航3か月~1か月前 公的手続きの確認

まずパスポートの有効期間・空白ページ数を確認し、要件を満たさない場合は更新手続きを行う。次に中国駐在大使館・領事館の公式サイトで、自国が免査証政策の対象か、滞在予定期間が査証不要の範囲内かを確認する。査証が必要な場合は、最寄りの中国ビザ申請センターで予約を取り、指定書類を準備して申請する。チベット自治区や辺境地域を訪問する場合は、この段階で必要な許可証の手配を開始する。

ステップ2:渡航1か月~2週間前 支払い・通信・荷物の準備

必要額の人民元を準備するほか、WeChat Pay・Alipayのダウンロードと本人確認、クレジットカードの紐づけを行う。国際ローミングまたはポケットWi-Fiの手続きを済ませる。渡航先の気候に合わせた衣類、常用薬、変換プラグ(中国のコンセントはA・C・Iタイプ、電圧220V)などを準備する。宿泊先は外国人宿泊登録が可能な施設か確認の上、予約を確定する。

ステップ3:渡航1週間~出発当日 最終確認

税関の持ち込み禁止品リストを再確認し、荷物を調整する。航空会社の搭乗要件を確認し、往復航空券控え、宿泊予約確認書、パスポートのコピーを印刷し、デジタルデータもオフラインで参照できる状態にしておく。

よくあるトラブルと注意すべき制限

  • 書類不備による搭乗・入国拒否:パスポートの残存期間不足、査証・必要許可証の漏れ、復路便予約の未手配などがある場合、搭乗や入国を拒否されるケースがある。
  • 滞在期限の超過:免査証での滞在可能期間は入国日から15日間で、超過した場合は罰金や今後の入国制限の対象となる。
  • インターネット利用の制限:中国国内では一部の海外インターネットサービスが利用できない。認可を受けていないVPNを利用してこれらのサービスにアクセスする行為は法令で禁止されている。
  • 地域ごとのルール差異:一部の地方の小規模ホテルや民泊は外国人宿泊受け入れ資格を持たない場合がある。知人宅に宿泊する場合は、入国後24時間以内(農村部は72時間以内)に最寄り派出所で臨時宿泊登録を行う義務がある。
  • 支払いトラブル:地方の小規模店舗では海外発行クレジットカードが利用できないケースがあるため、少額の人民元現金を準備しておく必要がある。

よくある質問(FAQ)

Q:すべての外国人が中国渡航前にビザを取得する必要がありますか?

A:いいえ。2024年現在、日本をはじめとする複数の国の普通旅券保持者は、15日以内の観光・商用・親族訪問・通過目的の滞在であれば査証なしで入国できる。対象国や制度の内容は随時更新されるため、渡航前に必ず中国大使館・領事館の公式情報を確認すること。就労・報道・長期滞在を目的とする場合は、滞在日数に関わらず事前査証が必要となる。

Q:中国入国時に新型コロナ関連の証明書は必要ですか?

A:2023年11月以降、入国者に対する新型コロナウイルスのワクチン接種証明、PCR検査陰性証明の提出義務、健康申告手続きは全面的に廃止されている。

Q:中国では海外発行のクレジットカードは使えますか?

A:都市部の大型商業施設、ホテル、チェーン店などではVisa、Mastercard、JCBなどの主要な海外発行クレジットカードが利用できる。ただし、地方の小規模店舗、屋台、公共交通機関などではクレジットカード決済に対応していないケースが多いため、モバイル決済や少額の現金を併用することが推奨される。

Q:処方薬を中国に持ち込むことはできますか?

A:個人使用の範囲内の量の常用処方薬は持ち込み可能だが、入国審査時に提示を求められる場合に備え、英文または中文の処方箋を携行することが推奨される。麻薬・向精神薬に分類される成分を含む薬については、持ち込みが禁止または事前の申請が必要となる場合があるため、事前に中国税関の規定を確認すること。

Q:中国で外国人がVPNを利用することはできますか?

A:中国国内では、正規の手続きを経て認可されたVPNサービスのみ利用が認められている。無認可のVPNサービスを利用した場合、法令に基づき処罰の対象となる可能性がある。

参考来源

  • 中華人民共和国駐日本国大使館 公式ウェブサイト(査証・免査証政策情報)
  • 中華人民共和国国家移民管理局 公式ウェブサイト(入国審査・宿泊登録に関する規定)
  • 中華人民共和国税関総署 公式ウェブサイト(出入国時の持ち込み品・現金申告に関する規定)
  • WeChat Pay グローバルユーザー向け公式ガイド
  • Alipay グローバルユーザー向け公式ガイド