中国商用ビザの申請に関する問い合わせが増えている背景

2023年以降、日中間のビジネス往来がコロナ禍前の水準に近づきつつある中、商用目的で中国へ渡航する人からのビザ手続きに関する問い合わせが急増している。特に2024年11月に新たに15日以内の短期渡航に対するビザ免除措置が発表されたことで、「自らの渡航にビザは必要なのか」「どの書類を準備すればよいのか」といった混乱も生じている。

問い合わせの多くは、中国国内の取引先と商談を行う企業担当者、中国で開催される展示会や業界会議に参加するビジネスパーソン、現地拠点の短期視察や技術指導を行う従業員、および企業の渡航手続き担当者から寄せられている。ビザ申請のルールは管轄の申請窓口や渡航目的、時期によって細かい要件が異なる場合があるほか、オンライン予約が必須となっている点、書類不備があると審査が長引く点など、知らないと渡航計画に影響が出やすい注意点が多いことも、正確な情報が求められる理由となっている。

中国商用ビザ申請の基本的な流れ

商用目的で中国へ渡航する場合、どのようにビザを申請するのか

商用目的で中国へ渡航する場合、15日以内の短期滞在で2024年11月から試行されているビザ免除措置の対象となる場合を除き、原則としてMビザ(商用ビザ)の事前取得が必要となる。中国ビザ申請サービスセンターが公表している標準的な申請の流れは以下の通りである。

1. 中国側の招聘元から必要書類を取得する
中国国内の取引先企業、または商業団体が発行する招聘状(招聘確認書)を準備する。渡航の内容によっては、中国の地方政府外事弁公室が発行するビザ通知書(PU通知など)が必要となる場合がある。

2. オンラインで申請情報を登録し予約を取得する
中国ビザ申請サービスセンターの公式サイトからビザ申請フォームに必要事項を記入し、規定の規格に合った顔写真データをアップロードした上で、来館して書類を提出する日時の予約を行う。事前のオンライン予約がない場合、来館しても申請を受け付けてもらえない。

3. 申請書類を準備する
基本的な必要書類は以下の通りである。

  • 残存期間が6か月以上、空白のビザページが2ページ以上あるパスポート
  • オンラインで作成したビザ申請フォームを印刷し、署名したもの
  • 規定サイズ(横33mm×縦48mm、背景白)の顔写真1枚
  • 中国側招聘元の招聘状
  • 往復航空券の予約確認書、滞在先のホテル予約確認書など、渡航日程を証明する書類

4. 予約日に管轄のビザ申請サービスセンターに来館し、書類を提出する
窓口で書類の確認を受け、ビザ手数料を支払う。14歳以上70歳以下の申請者は、原則として窓口で指紋の採取が求められる。なお、郵送での申請は原則受け付けられていない。

5. 審査完了後、パスポートを受け取る
通常の審査期間は4~5営業日で、審査が完了したら指定された期間内に来館してビザが貼付されたパスポートを受け取る。追加書類の提出を求められた場合、審査期間は延長される。

申請に関する詳細なルールと注意点

Mビザの申請に必要な招聘状には、どのような記載が求められるか

ビザ申請時に提出する招聘状には、中国側の規定で以下の内容が明記されている必要がある。

  • 招聘を受ける申請者の個人情報(氏名、性別、生年月日、パスポート番号、所属企業名など)
  • 招聘元企業の情報(正式名称、所在地、連絡先、法定代表者の署名、企業の公印)
  • 渡航に関する情報(渡航目的、入国予定日、滞在期間、訪問先の都市、渡航費用の負担者、招聘元と申請者の関係性)

なお、高度な専門技術を持つ人材の招聘や、長期間の商用滞在を申請する場合など、ケースによっては地方政府外事弁公室発行の公式な招聘通知書の提出を追加で求められる場合がある。この要件は管轄の申請窓口や時期によって異なるため、申請前に最新の情報を確認する必要がある。

申請窓口の管轄ルールはどうなっているか

日本国内で中国ビザを申請する場合、中国大使館・総領事館から業務を委託された中国ビザ申請サービスセンターが窓口となる。国内には東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、仙台、広島、高松の各都市にセンターが設置されており、申請者の日本国内での在住地によって管轄のセンターが定められている。

例えば東京センターは関東1都6県に加え、新潟県、山梨県、長野県、静岡県を管轄し、大阪センターは近畿2府4県と中国地方5県、四国4県を管轄する。管轄外のセンターでは申請を受け付けてもらえない場合がある。

やむを得ない事情で本人が来館できない場合は、所属企業の担当者や親族などが代理で申請することも可能だが、代理申請の際には委任状や代理人の身分証明書が必要となる。

15日以内のビザ免除措置を利用する場合、追加の手続きは不要か

2024年11月30日から2025年12月31日までの試行措置として、日本国籍者を含む9カ国の一般旅券保持者は、入国後の滞在日数が15日以内の場合、商用・観光・親族訪問などの目的での入国に限り、事前のビザ申請が不要となっている。

ただし入国審査の際に、残存期間6か月以上のパスポート、入国日から15日以内に中国を出国することを証明する航空券や乗車券、必要に応じて商用目的を証明する書類(会議の案内状、取引先の連絡先など)の提示を求められる場合がある。また15日を超えて滞在する場合や、就労・報道活動など今回の免除措置の対象外となる活動を行う場合は、引き続き事前に該当する種類のビザを申請する必要がある。

審査で追加書類を求められるケースはあるか

ビザ審査の過程で、申請内容の確認のために追加の書類提出を求められる場合がある。具体的には、招聘元企業の営業許可証の写し、申請者と招聘元の過去の取引記録(契約書、請求書など)、申請者の在職証明書、中国国内での詳細な日程表、滞在費用の支払い能力を証明する書類などが求められるケースが多い。

指定された期間内に追加書類を提出できない場合、審査が却下されることがある。また、ビザの有効期間や入国可能回数、1回の入国での滞在可能日数は、提出された書類をもとに中国側の審査で個別に決定されるため、必ずしも申請者の希望通りの条件で発給されるとは限らない。

よくある質問(FAQ)

Mビザの申請手数料はいくらですか?

2024年現在、日本国籍者が1回入国のMビザを通常申請(4~5営業日での審査)する場合、ビザ料金とサービス料を合わせて1万8000円が必要となる。複数回入国ビザの申請や、短期間で審査を行うエクスプレスサービスを利用する場合は、別途追加料金が発生する。

Mビザで中国に滞在中に、現地で報酬を得る業務を行うことはできますか?

Mビザは商談、会議参加、視察、展示会出展などの短期商用活動を対象としたビザであり、中国国内の組織に雇用されて報酬を得る就労活動は認められていない。報酬を伴う就労を行う場合は、別途Zビザ(就労ビザ)の取得が必要である。

ビザ申請は渡航のどのくらい前に行えばよいですか?

通常の審査期間は4~5営業日だが、追加書類の提出を求められる場合や連休前など申請が集中する時期は審査が長引く可能性があるため、渡航日の2週間から1か月前を目安に申請手続きを行うことが推奨される。

招聘状はPDFデータを印刷したものでも有効ですか?

多くの管轄センターでは、招聘元が署名・押印した書類をPDFで受け取り、印刷したものを提出しても受け付けられる。ただし審査の状況によっては、原本の提出を求められる場合がある。

ビザ申請が却下された場合、手数料は返金されますか?

ビザの審査結果に関わらず、支払われた申請手数料は返金されない。

参考来源:

1. 中華人民共和国駐日本国大使館 公式ウェブサイト ビザ・証明関連案内

2. 中国ビザ申請サービスセンター(東京)公式ウェブサイト Mビザ申請ガイド・料金表

3. 中華人民共和国外交部 公式ウェブサイト 2024年11月22日付 一部国籍者に対する短期ビザ免除措置の発表