利用前に知っておくべき基本情報

中国大陸ではコンビニ、飲食店、屋台、交通機関、観光施設など大半の商業施設でキャッシュレス決済が標準的な支払い方法となっており、現金のみ対応可能な店舗は都市部を中心に減少している。微信支付は中国で最も普及しているキャッシュレス決済サービスの1つで、中国に滞在する外国人は観光などの短期滞在、留学・就労などの長期滞在を問わず利用することで、支払い手続きを円滑に進められる。

中国の法規定により、微信支付を利用するには全てのユーザーが実名認証を完了する必要がある。2024年時点で、中国国内の銀行口座を持たない短期滞在の外国人でも、有効な身分証明書と国際クレジットカードがあればサービスを利用可能となっている。

事前に準備するもの

利用に必要なものは滞在形態によって一部異なる。共通で必要なものは以下の通り。

  • WeChatアプリをインストールしたスマートフォン(iOS/Androidいずれも対応)
  • 有効な身分証明書(原本。パスポート、外国人永久居留身分証、港澳居民来往内地通行証、台湾居民来往大陸通行証のいずれか)
  • 登録用の電話番号(国際電話番号、中国国内の電話番号いずれも使用可能)

滞在形態別に追加で必要なものは以下の通り。

180日以内の短期滞在者(観光・商用訪問など)

3Dセキュア認証に対応した国際クレジットカード(Visa、Mastercard、JCB、Diners Club、Discoverのいずれかのブランド)。デビットカードは一部対応していない場合がある。

180日を超える長期滞在者(留学・就労など)

中国国内の銀行で本人名義で開設した決済用口座・デビットカードを用意すると、取引上限の拡大や個人間送金など全ての機能を利用できる。

具体的な利用手順

ステップ1:WeChatアカウントの実名認証を行う

WeChatアプリを開き、画面下部の「我」→「サービス」→「財布(Wallet)」の順にタップする。次に「身分情報」を選択し「実名認証」の項目を開く。画面の指示に従い、保有する身分証明書の種類を選択し、氏名・証明書番号・生年月日などの必要情報を正確に入力する。

その後、身分証明書の顔写真ページを枠に合わせて撮影・アップロードし、マスクや帽子、サングラスなどで顔の一部を隠さない状態で画面の案内に従って顔認証を実施する。認証審査は通常数分から数十分で完了し、結果はアプリ内で通知される。

ステップ2:支払い用カードを紐付ける

実名認証完了後、「財布」画面の「カード追加」をタップする。短期滞在者は「国際カード」の項目を選択し、クレジットカード番号・有効期限・セキュリティコードを入力、3Dセキュア認証を完了させて紐付けを行う。長期滞在者が中国の銀行カードを利用する場合は、カードに登録した電話番号に送信される認証コードを入力して紐付けを完了する。

ステップ3:店舗で支払いを行う

支払い方法は大きく2種類あり、店舗の案内に従って選択する。

  • 店舗のQRコードを読み取る方法:WeChatの「スキャン」機能で店頭に表示された決済用QRコードを読み取り、支払金額を入力してパスコードまたは生体認証(指紋・顔認証)で決済を確定する。
  • 自身の決済コードを提示する方法:「サービス」画面の「支払う」をタップすると表示されるバーコード・QRコードを店舗の決済端末にかざすと、自動的に支払いが完了する。

なお、紐付けたカードから直接支払額が引き落とされるため、事前にWeChat内の残高にチャージ(入金)する必要はない。

利用上の制限と注意点

利用にあたっては、いくつかの公的な制限が存在する。

  • 国際クレジットカードを紐付けた場合、2024年時点の公式規定では1回あたりの取引上限が200米ドル相当、月間累計の取引上限が500米ドル相当に設定されている。また個人間送金(紅包(お祝い金機能)を含む)、金融商品の購入、一部の公共料金支払い、小規模個人店での決済には対応していない場合がある。
  • 国際クレジットカードでの支払い時、WeChat側は追加手数料を徴収しないが、カード発行会社の規定により海外事務手数料や為替手数料が別途請求される場合がある。為替レートは決済時点のWeChatが定める基準レートが適用される。
  • 実名認証は必ず本人の書類で実施する必要がある。他人の身分証やカードを不正に使用した場合、アカウントが永久的に凍結される場合がある。
  • 国際クレジットカードのみを紐付けている場合、WeChat残高へのチャージ、残高から海外の銀行口座・カードへの出金はできない。他ユーザーからの送金で残高に入金があった場合は、その残高を中国大陸内での決済に利用することは可能。
  • 中国大陸以外の地域(香港・マカオ・台湾など)では微信支付の利用ルールが異なり、大陸で設定した決済方法がそのまま利用できない場合がある。
  • パスポートで実名認証を行った短期滞在者は、入国記録の有効期間が過ぎると決済機能が一時的に制限される場合がある。
  • 店舗が公式に設置したQRコードを偽装した不正コードによる詐欺が発生しているため、不審なQRコードを読み取って決済を行わないよう注意する。

よくある質問(FAQ)

中国の銀行口座を持っていない短期旅行者でも微信支付を利用できる?

はい。2023年以降微信支付は国際クレジットカードの紐付けに対応しているため、有効なパスポートと3Dセキュア対応の対象ブランドのクレジットカードがあれば、銀行口座がなくても決済機能を利用できる。

実名認証やカードの紐付けはオンラインで完了できる?窓口での手続きは必要?

全ての手続きはWeChatアプリ上でオンラインで完結する。本人確認のために実店舗やサービス窓口に出向く必要は原則ない。

パスポート以外の書類でも実名認証は可能?

外国人永久居留身分証、一部の国が発行する有効な旅行証明書でも認証が可能。ただし書類の種類によっては対応していない場合があるため、認証画面に表示される対象書類一覧を事前に確認する必要がある。

決済時にエラーが発生して支払いができない場合はどうすればよい?

まずスマートフォンのインターネット接続状況、紐付けたカードの有効期限・利用限度額、3Dセキュア認証が正常に完了しているかを確認する。国際カードの場合は取引上限額を超過している可能性もあるため、上限範囲内で再度試す。解決しない場合はWeChatアプリ内のカスタマーサポートに問い合わせる。

利用にあたって年齢制限はある?

実名認証の規約上、18歳未満のユーザーは一部機能(高額決済、個人間送金など)に制限がかかる場合がある。未成年の場合は保護者の同意のもとで利用する必要がある。

参考来源
WeChat Pay公式ヘルプセンター 海外ユーザー向け利用案内
テンセント金融科技 2023年国際カード決済対応拡大に関する公式発表
中国人民銀行 非銀行決済機関のオンライン決済業務に関する管理規定
中国国家移民管理局 外国人の身分証明書に関する公開情報